コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

急性上気道感染症に対する患者の意思決定支援に関するツールによる介入 RCT

P プライマリ・ケア医 I 急性上気道感染症に対する患者の意思決定支援に関するツール(動画によるトレーニングパッケージを用いる) C 介入なし O Primary 抗菌薬処方率 Secondory プライマリ・ケア医の抗菌薬使用に関する知識,有益性と有害性のエビデンス…

世界史とつなげて学ぶ 中国全史 感想

Audibleの聴き放題で読みました。 興味深かったです。以下要点を ・中国もシルクロードを通じてオリエントの影響を古代から受けていた・温暖化の時代はシルクロードで経済的な恩恵を受けたが寒冷化でその恩恵は潰えた・中華は世界の中心という考えは秦および…

人口減少社会のデザイン

読み終えました。 非常に興味深い本でした。 脱成長コミュニズムなどとも接点がある話題でしたが、かなり医療にも踏み込んだ話題があり、総合診療医には必須の内容かなと。 この本の内容は以下の図が分かりやすいです。 つまり、情報化社会が拡大しているな…

2022年の抱負

今年もよろしくおねがいします。 以下、今年やるべきことです。 ○臨床 ・週1回の診療所勤務でより、家庭医療の視点を深めること ・1つ1つの症例を大切にして、文献検索を行う ・誤嚥性肺炎におけるケアをさらに向上させる ○臨床研究 ・筆頭執筆者の研究論…

総合診療×風の谷×コモン 新しい里山の構築

安宅和人のシンニホン 斎藤幸平の人新世の「資本論」 シンニホンでは科学分野や教育への投資とICTの徹底的な活用による経済の活性化を主張するが、最終的には地球環境問題を経て、風の谷という構想にいたる。 風の谷とは、テクノロジーの力を使って、自然と…

医学論文査読のお作法(最近、読んだ医学書で一番のヒット)

最近、読んだ医学書で一番のヒットは、こちらの査読の本です。 基本的には福原先生の臨床研究の道標を先に読んでから、読むことをお勧めします。 PCR-connectで授業してくださった大前先生の著書ですが査読に限らず論文を書くのにも使えてめっちゃお勧めです…

2021年振り返り

2021年の振り返りをします。 今回は、今年はじめの展望を元に考えます。 点数もつけていきます。 ・臨床 引き続き、臨床は今まで通りがんばりますが、高岸先生が来てくださるので今まで以上に膠原病を診る機会が増えるでしょうね。アップデートをしてい…

ジェネラリストのための臨床研究勉強会  青木拓也先生

【勉強会告知】 お世話になります。 市立奈良病院 総合診療科の森川暢と申します。 市立奈良病院および地域医療振興協会が主催する勉強会の告知になります。 今回、プライマリ・ケア領域の臨床研究で著明な、東京慈恵医科大学の青木拓也先生に、ジェネラリス…

肝硬変の人にアセトアミノフェンは使用できるか?

肝硬変の人にアセトアミノフェンを使用できるか? 以下のレビューをみました Pain Management with Acetaminophen in Patients with Liver Diseases: A Review Article | Shiraz E-Medical Journal | Full Text ○急性肝炎 使用は推奨しない ○肝硬変患者 肝硬…

論文紹介 中心静脈栄養でアミノ酸投与量が少ないと死亡率が高くなる

入院患者で特に誤嚥性肺炎などで食事摂取量が少なくなります。 末梢静脈栄養ではBacillus cereus菌血症のリスクが高くなるとされており、特にビーフリードなどのアミノ酸製剤は避けられる傾向があります。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/yoken/advpu…

日本版ホスピタリストとCOVID-19

COVID-19時代を迎えて、感染症内科の先生と救急・ICUの先生がクローズアップされています。 しかし、今後のパンデミックに備えるだけでなく、今後の超高齢化社会を迎えるうえで、重要度が高いのが 病院総合医=日本版ホスピタリスト です。 実は米国ではホス…

痛風に関する推奨  2016 updated EULAR evidence-based recommendations for the management of gout

2016 updated EULAR evidence-based recommendations for the management of gout | Annals of the Rheumatic Diseases 痛風に関してEULARの推奨を復習しました。 この分野は、まだエビデンスが不十分なんだなと改めて思いました。 治療について、以下の推奨…

総合診療流CGAプロブレムリスト 診療看護師さんへのレクチャー

診療看護師さん向けにCGAプロブレムリストについて話をさせていただきました。 非常に多岐に渡る内容ですが、高齢者医療は奥が深いです。 ただ、看護師さんが果たす役割もまたこの領域は大きいように感じます。 ○CGAについて勉強したい方は以下がお勧めです…

心身症の見かた  総合診療×心療内科 心身症の一歩進んだ診かた の発売記念

心身症の本が発売されます。 心療内科の酒井先生と大武先生と一緒に書いた本で総合診療の視点と心療内科の視点が両方まなぶことができます。 以前に公開したスライドは以下 jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com そこから抜粋します。 心身症を診る上で…

うつ病に対する運動療法と抗うつ薬の比較

うつ病に対して、運動療法は有効であることは間違いないですが、抗うつ薬との比較については知りませんでした。 今回、Annals of family medicineからRCT!が発表されたので読んでみました。 Settingはfamily medicineのクリニックで多施設研究 ブラインドは…

COVID-19診療における妥当性があり科学的な根拠がある推奨

https://www.nature.com/articles/s41591-021-01439-x.pdf 岡秀明先生からご紹介いただいた論文です。 COVID-19における科学的に妥当な推奨になります。 意訳しております。 ●一般の方向け ① フィット感のあるマスクを使用してください 適切に、公共の場でい…

COVID19への抗体カクテル療法

COVID19の抗体カクテル療法について調べてみた 病態を考えれば重症化リスクが高い患者が軽症でありvirus loadが高いが症状が乏しい初期に使うことで重症化を抑えることが期待される。 査読された論文では以下が有名 REGN-COV2, a Neutralizing Antibody Co…

誤嚥性肺炎×マルモレクチャー Zoom @隠岐

本日は、マルモ×誤嚥性肺炎で隠岐病院にてZoom講演をさせていただきました。 大浦誠先生の最も得意とする領域ですが。。 自分の勉強を兼ねてさせていただきました。 お呼びいただき、感謝です。 ○もっと詳しく勉強したい方は以下がオススメです。

オニマツ現る! ぶった斬りダメ処方せん

読みました。 COIなし。 これ、本当にすごい本ですね。 内科外来の極意が詰まっています。 ダメ処方箋のダメさは自省を促すとともに、深く共感できるのは後期研修医時代に総合診療の指導医に外来について徹底的にフィードバックをいただいたことを、改めて思…

献本御礼 フレームワークで考える内科診断

田中先生から献本いただきました(COIあり) そもそも、なぜ私に献本いただいたかというと、拙書の総合内科ただいま診断中がきっかけです。 数年前の本ですが、意外にまだ学生さんが読んでくれていて嬉しいです。 同書で扱った概念が「フレーム法」で、フレ…

multimorbidityのレクチャー

本日は、市立奈良病院のレジデントデイでmultimorbidityのレクチャーをしました。 日本におけるmultimorbidityの総説としては以下が非常に優れています。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/generalist/42/4/42_213/_pdf/-char/ja この総説でも述べられ…

多剤併用する高齢者の降圧薬を中止したことによる血圧への影響

高齢者では特にフレイルになると降圧薬を中止することもあります。 ただ、実際に中止しても問題が無いのかというのはあまり調べられていません。 今回、高齢者を対象にしたRCTで降圧薬を中止することの影響を調べたRCTを読んでみました。 Effect of Antihype…

第2世代と第1世代のフルオロキノロンはアキレス腱断裂のリスク

もともと、キノロンとアキレス腱断裂のリスクは知られています。 今回、家庭医療のトップジャーナルであるAnnals of family medicineに日本から発信された論文を見つけたので少し読んでみました。 https://www.annfammed.org/content/19/3/212?fbclid=IwAR0U…

プライマリ・ケア医の質と急性期病院に直接受診するかどうかの検討

急性期病院の総合診療科に勤務していると、一定数、かかりつけ医がいるにもかかわらず直接、急性期病院の外来を受診される方がいる。 かかりつけ医は「薬を出すだけ」で何かあったら、急性期病院という方もいる。 一方で、かかりつけ医として信頼され、ゲー…

入院中のPCAMは在院日数と関連する

以下の論文です。 Validity and reliability of the Patient Centred Assessment Method for patient complexity and relationship with hospital length of stay: a prospective cohort study | BMJ Open 具体的には東京の小規模病院の急性期病棟における前…

プライマリ・ケアセッティングにおける日本における Patient Centred Assessment Methodの有用性

慈恵医大の先生方の論文を読みました。 とても重要ですね。 Patient Centred Assessment Method(PCAM)は複雑性を評価するツールです。 もともとは、慢性疾患モデルが生物学的問題に偏っていたので、心理社会的問題も含めて包括的に複雑性を評価する必要が…

誤嚥性肺炎-JAPEP プロジェクトインタレストグループ@日本プライマリ・ケア連合学会 

今回、日本プライマリ・ケア連合学会のインタレストグループのお誘いをさせていただきます。 誤嚥性肺炎はコモンな病気であり、特に総合診療医が診る機会も多いと思います。 だからこそ、それを深めて専門的に診療する必要があると考えています。 本、インタ…

COVID-19における抗凝固療法

COVID-19において抗凝固療法の有用性は? ICUセッティングでは抗凝固療法のエビデンスが確立しており、基本的には出血リスクがなければ抗凝固療法を行うというのが世界のスタンダード。 日本ではDVTのリスクは米国とかに比べれば少ないだろうけど、その戦略…

総合診療 進化するアウトプット

私が編集に携わった進化するアウトプット特集が発売されました。 あっという間に売り切れる人気特集となりました。 これは、買いですよ。 www.igaku-shoin.co.jp 編集をしていましたが、改めて読むと本当によいなと。 ざっくり個人的感想 ■総論 臨床医のため…

臨床の砦と非日常性

日常の裏に潜む亀裂や非日常は気づかれにくい。 現場の臨床医の日常は非日常である。 コロナ禍になり、非日常性はますます拍車がかかった。 臨床の砦はコロナの最前線で戦う医師の非日常を見事に描写している。 終わることのない日常業務の合間に行う発熱と…