コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

東京城東病院総合診療科 2019年度スタッフ募集

京城東病院総合診療科ではスタッフを募集します!

対  象:平成31年4月1日時点で卒後6年目以上の医師
病院総合診療/家庭医療の経験がある方が望ましいが、内科の資格があればOK

募集人数:若干名


京城東病院総合診療科は独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)における、総合診療事業のフラッグシップ病院です。

コンパクトな病院ならではの特徴として、総合診療科が病院のメインの診療科として中心的な役割を果たしています。

急性期内科病棟医療だけでなく、初診外来、継続外来と幅広いフィールドで活躍することが出来ます。

内科急性期医療、診断学、EBM、リハビリテーション、緩和ケアと幅広い領域の診療を行っています。

また、オンオフがはっきりしていて比較的学業との両立がやり易い環境になります。

実際に、スタッフも仕事をしながらMPHや社会人大学院など様々な活動も並行して行っています。

特に、家庭医療専門医の先生を歓迎します。

病院での家庭医療の実践についても重要視しています。


申込み方法:
見学だけでも大丈夫ですので、気軽においでください。
kubota-kana@joto.jcho.go.jp  まで【見学希望】と題名に書いて、名前、所属、医師年数、経歴を銘記してメールをしていただければと幸いです。

食欲不振の精査

急性の食欲不振はsick
全身評価する閾値を下げる。
ERに準じた対応を。

慢性の食欲不振では病的な体重減少をチェック。
ダイエット・運動変化なしで体重が減少。

GERDPPIN
食欲が低下している体重減少

 


・器質的疾患=食欲低下の鑑別

G  Gastric(消化管)

E  Endocrine (副腎不全)

R Respiratory (心肺疾患)

D  Drug(NSIADS, ジギタリス, テオフィリンなど)

P  Psycho(抑鬱摂食障害認知症)

P neoplasm(悪性腫瘍)
I Inflammation  (感染症、血管炎など)

N Neuro(神経変性疾患)


①悪性腫瘍
②消化器疾患
精神疾患

⇒これらの鑑別疾患を念頭に、症状や身体診察を確認する。
歯や口腔内の診察は忘れがちなので、欠かさない

抑うつの評価
PHQ-2でスクリーニングして、PHQ-9をする。

 

 

・薬物
NSAIDS、ジギタリス、テオフィリン
抗痙攣薬、血糖降下薬、コリンエステラーゼ阻害薬も。
⇒あらゆる薬が体重減少をきたしうる。

 

・まずやる検査(病歴、身体所見を踏まえて追加)
一般採血、血沈、甲状腺コルチゾール
尿検査
便潜血
胸部Xp
腹部エコー
上部消化管内視鏡

 

外来の食欲不振より、入院中の食欲不振ではスピード感をもって、検査をしなければいけない。

検査やリハビリ介入、栄養介入は、さっさと行う。
検査待ちをしていれば、廃用症候群となる。
リハビリ×栄養が大切。

レジデントノート増刊 Vol.20 No.8 COMMON DISEASEを制する! 「ちゃんと診る」ためのアプローチ

レジデントノート増刊:COMMON DISEASEを制する!〜「ちゃんと診る」ためのアプローチ - 羊土社

 

 

献本御礼
前の職場のBOSSから頂きました。
正直、レジデントノートにこれほどの衝撃を受けたのははじめてです。
私の同僚も書いているものの、基本的には自分の後輩が書いた記事で、大多数はまだ後期研修医の先生が執筆しています。
しかし、私が知らない知識や知見が散りばめられていて、相当に「焦りました。」
焦りを生む本は良い本だと言いますが、この本は相当に焦らされます。
聞くところによると、自分の担当した課題に関して、徹底的に調べ上げてまとめた内容を科内で発表し、さらに磨き上げるという過程をとっていたとか。
そして当然BOSSのチェックも入り、磨きがかかり出来た努力の結晶が、この本だと思います。
正直、本当に勉強になりました。
病院総合医としての本懐は、コモンディジーズの専門家として、徹底的にコモンディジーズを深めることであると改めて襟を正すことが出来ました。
お勧めですので、よろしければ是非。

マニュアルカンファ 尿路感染

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久しぶりにマニュアルカンファを再開しました!
複雑性尿路感染は、男性、解剖学的異常、高齢、免疫不全などがあれば、あてはまる。
膀胱炎というには、尿検査の異常に加えて、膀胱刺激症状(排尿時痛、残尿感、頻尿の3点セット)が必須。
腎盂腎炎では、尿検査異常と膀胱刺激症状に加えて、発熱・悪寒・悪心などを認める。CVA叩打痛の確認と、他に熱源がないことを診察で確認することが極めて重要。
画像検査で腎盂腎炎の診断をすべきではない。
尿路感染の診断にはグラム染色が極めて有用。
腹部エコー、腹部CTは合併症の評価に有用。
ポイントは、尿閉水腎症、膿瘍、気腫。
48-72時間解熱しない尿路感染では画像評価が必須。
気腫性腎盂腎炎、結石性腎盂腎炎は緊急性が高く、泌尿器科コンサルトを常に考える。
腎膿瘍はドレナージが必要で、血沈や画像フォローで抗菌薬治療期間を決定する。

総合内科ただいま診断中 第2版

 

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管理人が執筆した本の第2版が出版されました!

尊敬する先輩のH先生から以下のような、ありがたいお言葉を頂きました。

よろしければ是非!

 

1冊の本でかなり広く範囲を網羅されており,目の前の臨床に即役立つ知識やパールが「どう考えているか」を共にわかりやすく書かれていて最高でした!!
ボリュームがしっかりあり読み応え十分です!!

 

坂本先生 カンファレンス 2018年8月3日

*一部抜粋します

 

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ERの腹痛では、コモンから考える。

虫垂炎と異所性妊娠を常に考える。

虫垂炎と異所性妊娠は胃腸炎として誤診される。

虫垂炎は心窩部痛から始まる。

腸炎は嘔吐、腹痛、下痢の3徴が出現する。

感冒というには、咳嗽、咽頭痛、鼻汁の3徴がそろっていないといけないのと同じ。

腸炎というには嘔吐⇒腹痛⇒下痢の順番で出現する。それに合わない場合は、胃腸炎言ってはいけない

高齢者で嘔吐だけで来る場合は?? ⇒心筋梗塞や小脳梗塞もありうる。

高齢者、糖尿病、精神疾患ステロイド内服などがあると患者背景

分からない場合は、ホウレンソウを徹底。

患者さんのことを考えれば、相談する。

相談しやすい環境を作る。

相談しづらい上級医にならないように。

74歳女性が、胸痛が増悪して来院。検査は全て陰性。

 ⇒実は帯状疱疹。 コモンな病気はERでも、しっかり診断をつけることが大切。

 

 Quick SOFAは敗血症に関わらず、重症疾患のスクリーニングに有用

意識障害感冒症状では、常に髄膜炎を考えて、ルンバールを躊躇しない。

壊死性筋膜炎と蜂窩織炎の鑑別は①バイタルサイン ②痛み

壊死性筋膜炎を疑えば、試験切開を躊躇しない

高齢者の呼吸不全⇒①心不全 ②肺炎 ③COPD急性増悪 ④肺塞栓

肺塞栓の診断は難しい。。造影CTの敷居は高いが。。

肺塞栓を強く疑うなら、造影CTをしたほうが良い。

肺塞栓の可能性が低いと思うときにのみ、D-dimerを使う。

なんとなく、D-dimerを出すべきではない。

心電図で最も高い所見は洞性頻脈

 

造影剤自体を過度に恐れない。造影剤以外の脱水や薬剤などの要素が大きい。

造影剤腎症を予防するために生食で腎前性の要素を除外。

基本的にERでは必要ならば造影CT。 ただし、造影剤のアナフィラキシーのリスクはあるので、単純CTやエコーで検査前所見を高める。

肺塞栓を疑うなら下肢の身体所見や下肢エコーを行い検査前確率を高める努力を。

 

外傷では背景に失神がないかを確認する。

病歴聴取が大切。

心原性失神の所見を見逃さない。

鑑別疾患を想定して、病歴や身体所見を行う。

 心原性失神を見逃したら4人に1人はCPA? 見逃してはいけない。

心原性失神の除外で、ひとまず心電図をとればよいというわけではない。

病歴や身体所見が大切で、心原性失神の検査前確率の見極めが大切。

 失神から痙攣にいたる。

神経調節性失神であってもすぐに横にせず脳血流が低下すれば痙攣にいたる。

失神して痙攣した場合に、セルシンではなく、失神の原因検索と対応を。

 

悪性腫瘍、誤嚥性肺炎など疾患ごとにどのように亡くなっていくかという過程を、こまめに説明することが大切。

後医は名医。前医を否定しない。