コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

徳田安春先生回診+志水太郎先生ケースレポート指導

本日の午前中は、今年度はじめての徳田安春先生回診の日でした。

病棟の患者さんにベットサイドで徳田先生から直接身体診察を教えていただきました。

心不全における心尖拍動や3音など実践的な身体診察を学びました。

他には、入院中の興味深い症例についてもご意見をいただきました。

午後は獨協医大の志水太郎先生にケースレポートの指導をしていただきました。

実際の症例について、Disucussion pointの設定や論文の流れまで、懇切丁寧に指導をしていただきました。

ケースレポートを書く上での細かいポイントも教えていただきました。

なかなか、このような恵まれた環境はないと改めて感謝しています。

 

 

なお、東京城東病院総合内科では来年度の総合内科スタッフを募集しています。

コミュニティホスピタルとして、コミュニティホスピタリストと家庭医が共同して、地域に貢献するスタイルを構築しようと考えています。

さらに、論文発表や商業誌への執筆などの業績もどんどん、発表していこうと思います。

総合内科スタッフは、1週間のうち半日を研修日として、執筆や研究に充てる日を設けています。

一緒に理想を追ってくださる総合内科医・家庭医を募集しています。

見学希望の方は以下のメールまで、見学希望と書いてご連絡ください。

jotosec@gmail.com

心筋梗塞後の左室機能障害を有する患者に対するカプトプリル投与(SAVE試験)

Journal club2017/6/7

心筋梗塞後の左室機能障害を有する患者に対するカプトプリル投与(SAVE試験)〜New England Journal of Medicine 1992より〜

                                                 

 

Abstract

背景)心筋梗塞後の左室機能低下は主要な死亡の予測因子である。実験や臨床研究などではACE阻害薬による長期的な治療が心室拡大やリモデリングを減弱した。カプトプリルが心筋梗塞後の左室機能低下患者において死亡率と罹患率を減少するかどうかを調査した。

 

手法)心筋梗塞後3-16日未満の、EF40%未満で心不全増悪や心筋梗塞症状のない2231人に、プラセボ(1116人)とカプトプリル(1115人)の二重盲検治療をランダムに割り付け、平均42ヶ月フォローした。

 

結果)全死亡はプラセボ群(275死亡、25%)に比べてカプトプリル群(228死亡、20%)で明らかに減少した。Riskは19%減少。加えて、致死的または非致死的な主要な心血管イベントはカプトプリル群で減少した。心血管が原因のRiskは21%減少、重症心不全の発祥Riskは37%減少、入院を要するうっ血性心不全のRiskは22%減少、再発性の心筋梗塞は25%減少。

 

結論)心筋梗塞後の無症候性の左室機能障害を有する患者では、長期的なカプトプリル内服が生存率を改善し、主要な心血管イベントによる死亡や罹患を減少する。これらのbenefitは血栓溶解療法やアスピリン、Βブロッカーの治療を受けているものもそうでないものも同様に認められ、カプトプリルによる治療が心筋梗塞後の限られた生存者の中でアウトカムの付加的な改善に寄与することを示唆する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • テンプレート

A この試験の結果は信頼できるか

①その試験は焦点が明確な課題設定がされているか

Patient 

心筋梗塞後3日間生存し、EF 40%未満で21歳以上80歳未満の患者。

*除外基準;心筋梗塞後16日以内にrandomizationができていない、ACE阻害薬禁忌、症候性うっ血性心不全や高血圧に対してACE阻害薬投与の必要性がある、Cre 2.5mg/L以上、その他の状況のために生存が制限されうると考えられる状態である、長期的trialへの参加を望まないorできない、梗塞後不安定である

 

Intervention

p.670 初期投与量は12.5mg(過去に同量で著明な血圧低値を認めたことのある患者では6.25mgより開始可能)。入院期間中に25mgを1日3回投与とし、副作用がなければ50mgを1日3回投与まで増量する。

 

Comparison

p.670 Placebo

 

Outcome

p.670 全死亡、心血管疾患による死亡、trial初期と終盤時の放射性ヌクレオチドによる心室造影を比較で9 unit以上のEF低下を伴う死亡(詳細不明)、重症心不全や致死的または致死的でない新規の心筋梗塞の再発で定義される心血管系罹患、心血管死亡+罹患のcombination。Second endpointは心不全治療のための入院。

 

 

A②その試験は設定された課題に答えるための研究方法がとられているか?

p.670 randomizeされた、二重盲検の対プラセボ群のtrial。45センター、112病院による多施設共同研究。登録は1987年〜1990年。

 

 

A③患者はそれぞれの治療群にどのように割り付けられたか?➔その手法と、Table1

p.670 コンピューターで割り当てられ、センターにより層別化された。

p.671「There were no significant differences…」

 

 

A④研究対象者、現場担当者、研究解析者は目隠しされている?

詳しい記載はないが、double-blindと記載あるため、研究対象者と現場担当者に関しては目隠しされていると思われる。研究解析者に関しては不明。

 

A⑤研究にエントリーした患者が適切に評価されたか? intention-to-treatITT解析、脱落者も含めていて、より臨床に則した感じ)

p.671 intention-to-treat

 

 

A⑥研究対象となった介入以外は両方のグループで同じような治療がされていたか?

p.671 Table 1

不整脈薬や、抗凝固薬やアスピリン、Βブロッカーなど、特に差はない

 

 

A⑦その研究のための対象患者数は偶然の影響を小さくとどめるのに十分な数か?

Sample数に関して記載がないが、引用論文17のabstractによると充分なSample数とのこと。

 

 

B結果は何か?

B⑧a 結果はどのように示されたか? 

B⑧b 最も重要な結果は?

B⑨その結果はどの程度正確か p-valueで(bとセットで)

 

p.671 2231人を平均して42か月間follow-up

両群で血圧上昇が見られた(placebo群 125±18/77±10, captopril群 119±18/74±10)

 

Fig1 全体で503人が死亡。Placebo群で275人(25%)、captopril群で228人(20%)。➡riskはcaptopril群で有意に19%減少。

 

Table2 全体の84%に当たる422人が心血管系の原因で死亡したが、その内訳。心不全の進行や心筋梗塞などのriskが有意にcaptopril群で減少。

 

p.671  FigやTableなし  EFの改善に関しては、単独では特に両群で有意差はなかったが、全死亡との複合endpointとすると有意差ありでcaptopril群でriskを15%減少。

 

Fig2  左上のグラフはTable2の結果を折れ線グラフにしたもの。その他、ACE-Iを必要とするCHF、入院を必要とするCHF、再発性のMI、心血管系疾患による死亡あるいは再発性MI、心血管性疾患による死亡あるいは非致死的なCHFやMIそれぞれで見ても、captropril群でevent発症をrisk reductionできることを示している。

 

Fig 3 特に、ACE-Iを必要とする心不全、入院を必要とする心不全、再発性のMIに関して、縦軸を患者の絶対数としてevent発症を示した棒グラフ。各棒グラフの左側がPlacebo群、右側がcaptopril群。ACE-Iを必要とする重症心不全に関しては、Placebo群で179人が発症し、71人が死亡、captopril群で118人が発症し、39人が死亡…など。

 

Table 3  P.673

サブグループ解析では、高齢者、男性、Killip class Ⅰ、心筋梗塞の既往、Β blockerの使用、アスピリンの使用群などでよりリスク減少の効果が得られそう。

 

 

B⑧c    副作用はどうか?

p.674 カプトプリル群で、めまい、味覚変化、咳、下痢などの症状が多かった。プラセボの25人、カプトプリルの32人がめまいで服薬中止し、プラセボの5人、カプトプリルの9人が味覚変化で中止。

 

 

Cその結果はあなたの現場で役に立つか?

 

 

 

  • 個人的な疑問:

primary outcome多い。それに対してサンプル数がどの程度必要か、っていうところはclearしているのか?→appendixなど参照しないと詳細はわからないが、論文17のabstract的には、サンプル数は充分とのことなので多分大丈夫そう。

 

 

  • コメント:

・以前は重症心不全にはジギタリス、利尿薬の次にはACE阻害薬を使用していたのだなという驚き

・カプトプリルは日本の添付文書上では1日37.5-70mgを1日3回に分割して投与し、最大で150mg/dayまで投与可能。しかしながら1日3回内服するのは困難なので、1日1回のレニベースの方がより良さそう(実際にレニベースでもoutcome良いとの論文もいくつもある)。

・血圧低くなければ是非入れたい。

etc…

 

臨床推論カンファレンス

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臨床推論カンファも再開しました。

ボチボチやっていこうと思います。

 

今日は、腰痛の症例を。

最初は慣れないので、チーフの森川がフレームワークを提示しながら、行いました。

腰痛の基本は筋骨格系か内蔵由来か。

原則として体動で悪化する腰痛は筋骨格系で、体動で悪化しない腰痛は内蔵由来。

ただ、内蔵由来の腰痛かと思いきや以外な落とし穴が。。

 

 

陶山先生 カンファレンス

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time managementについて
例えばUTI
ERに来てから病棟に上がるまで時間をかけているか
看護師さんは生活支援につながることが知りたい
看護師さんは次に何をしたらいいかが知りたい
看護師さんは夕方に人が減るから困る
看護師さんは指示をはやく貰いたい
点滴が残破棄なのか、継続なのか
あの人の指示は分かりにくい、遅いと言われないように
看護師さんを呼ぶときは名前で
次することは何かを考えて動く
本当に困ったときに看護師さんに助けてもらえる
気が効くオーラを出すことで困ったときに助けてもらえる
話を聞いてあげたほうがいいときは、椅子に座って眼を見て話す


UTI
採血、培養、採尿、問診、診察、エコー、点滴、家族に説明、薬のオーダー、普段のADL
どの順番でやるか
ルート血培取る練習をする

CVA tenderness
除外:Neck stiffness, Chest, Skinなど
エコー:水腎があったら閉塞機転があるかもしれないから
片方だったらCTのオーダー入れる
両方だったら膀胱見る

寝たきりなのか、オムツは何回変えているのか
薬は最近何が始まったのか
病院の受診歴
入院するなら家族も呼ぶ必要がある
時間がかかるものから先にどんどんやっていき、結果が出るまでの間に話を聞いたりする

Physical取りながら話を聞く
同時並行にやる

他人にお願いできることはお願いする

優先順位をつけて行い、臨機応変

看護師さんができることはできるようになる
他職種が具体的に何をしているのか
薬も見る

重症度で分けて並列で見る
急変すると時間を割かれるため、急変を避けるために前々に動く

ディスポジションを考えて動く
入院させるのか有事再診帰宅させるのか

年齢、性別、主訴、薬剤、現着時のバイタル
来たらよーいドンできるように、準備する
疾患毎に、やることを定式化できるように