城東病院総合内科 ブログ

東京城東病院総合内科の非公式ブログです!

重症心身障害者の肺炎

 

元小児科の後期研修医によるレクチャーでした

 

重度の肢体不自由と銃との知的障害が重複した状態が重症心身障害

NICUとの関連も

在宅の重症心身障害児(18歳未満):4.3万人

神経小児科医が一手に引き受けているが。。 現場の疲弊は大きい

 

重症心身障害児では中枢神経障害を背景とした身体機能異常による感染症を繰り返しやすいため、抗菌薬の反復投与により耐性菌を起こしやすい

 

例えば

小児 全前脳胞症 大島分類1 尿崩症 胃瘻造設 喉頭気管分離 人工呼吸管理

膿性痰+右肺浸潤影で入院

抗菌薬で腸蠕動低下⇒腹部膨満⇒イレウス

抗菌薬中止でイレウス改善 肺炎は排痰頑張り改善

軽症肺炎を肺理学療法のみで改善することも。

CiNii 論文 -  重症心身障害児(者)の呼吸障害に対する肺内パーカッションベンチレータとインエクスサフレータの使用経験

 

中枢神経障害が背景にあるため難しい。

免疫不全、誤嚥、排痰低下、胃食道逆流など。。

脳性麻痺患者の常在菌の47%が抗菌薬耐性があるという報告も

 

今後、総合診療領域でこのような患者を扱うことも増えてくるかもしれません。。 

 

 

 

巨大な肝細胞癌について

本日は城東病院総合内科で第2回CPCを行いました。

高齢者

肝臓に最大10cmの巨大腫瘤性病変。半年の経過で急激に増大し、結果的にはHCCだった症例。

慢性肝炎の所見はあるが軽度。肝硬変ではない。

B型肝炎ならこのような急激な経過で、肝硬変を介さずにHCCが発生して急激にしてもよいが、C型肝炎は通常ゆっくりとした経過でくるという点が話題になりました。

Giant hepatocellular carcinomaで検索してみました。

 

下記はケースレポート 60歳のアルコール多飲者

凄い大きさですね。病理学的にHCCと診断。

Rev Esp Enferm Dig. 2012 May;104(5):264-5

 

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では巨大だと予後は悪いのか?

HPB (Oxford). 2015 Nov;17(11):988-93. doi: 10.1111/hpb.12479. Epub 2015 Sep 3.

Outcomes of resection of giant hepatocellular carcinoma in a tertiary institution: does size matter? - PubMed - NCBI

 

10cm以上を巨大と定義して、巨大なHCC(G-HCC)とそれ以下の小さなHCC(S-HCC)で切除後の予後がどうなるかを検討した後ろ向きのstudy

86人のうち23人がpatients with G-HCC (26.7%) 、 63人が S-HCC (73.3%)

予後がどうなるかというとS-HCCとG-HCCで有意差なし(ただG-HCCのほうが予後悪いようにも見える)

ちなみにG-HCCのほうがmajorな肝切除は多く行っている

significantly more major hepatectomies were performed in the G-HCC group
(82.6% versus 31.7%; P < 0.001). 

 

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では予後に影響を与える因子は??

下記の表のように腫瘍の大きさよりも、rupture,転移、微小血管浸潤、周術期の輸血、AFP>400ng/mlが不良な予後を予測する因子

輸血に関してはそれ自体が悪化している可能性もあるが、むしろ全身状態が悪い患者に輸血する傾向があるからかもしれない。

 

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血管やリンパ浸潤はG-HCCのほうが多い傾向

興味深いことにG-HCCは明らかに肝硬変が少ない(50.8% VS 13.0%)

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なぜG-HCCに肝硬変が少ないか。
そもそも今回のstudyは「切除したHCC」を対象に解析している。
肝硬変を有する患者はしばしば定期的な検査をするため、HCCが小さい時に見つかる影響があるかもしれない。
さらに重篤な肝硬変を有する患者でかつ 10cmを超えるHCCがある患者は、残存肝機能が乏しいので、切除するのは難しいというバイアスがありそう。
肝機能に余力がないと、肝切除が出来ない。

予後不良因子である血管浸潤がG-HCCで多く、そもそもベースラインの肝機能がよい群が多いということならば、やはりG-HCCのほうがS-HCCに比べ予後は悪いのかもしれない。

 

呼吸困難のフレーム 問診

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今日は呼吸困難のフレームについて話をしました。

呼吸困難ではまず気道の問題を除外すべきです。特に上気道閉塞は知識的になりえます。突然の呼吸困難では真っ先に除外すべきです。

それ以外のフレームは下記になります。

A irway(気道) 

B reath(肺)

V entilation(換気不全)

C ardio(心臓)

DKA(アシドーシス)

Defficiency of anemia(貧血)

病歴も重要ですが、相対的にバイタルと聴診と血液ガスが重要になってきます。

当然ですが気道も問題では喘鳴やストライダーの有無を確認します。

SpO2が保たれた呼吸困難ではアシドーシスと貧血、CO中毒を考えます。

CO2が上昇した呼吸困難では気道の問題と換気不全を考えます。

 

問診において重要なのはReview of systemsの聴取で上記のどのフレームに所属するかを考えることです。

代表的なROSは下記のとおりです。

 

A irway(気道)  窒息 痰づまり 異物 アナフィラキシー(下痢、皮疹、アレルゲン摂取)

B reath(肺)   咳嗽・喀痰・血痰・吸気時の胸痛

V entilation(換気不全) 脱力・痺れ・嚥下困難・複視

C ardio(心臓)   夜間発作性呼吸困難・起座呼吸・胸痛・動悸・浮腫・体重増加

DKA(アシドーシス) インスリン・アルコール・糖尿病・口渇・多飲・多尿

Defficiency of anemia(貧血) 黒色便・血便・出血素因

 

 

 

骨のリンパ腫

Malignant Lymphoma of Bone: A Review of 119 Patients

 

原発性のリンパ腫は骨腫瘍の5-7%しか認めないレアな腫瘍である。しかしリンパ腫の二次性の骨浸潤はリンパ腫の16-20%で認める。WHOの分類によると骨浸潤するリンパ腫は4つに分類

① 単一の骨への浸潤(リンパ節浸潤の有無によらない)

② 多発骨浸潤(臓器やリンパ節浸潤は認めない)

③ 臓器浸潤や多発リンパ節浸潤を伴う骨病変 

④ 既にリンパ腫としられている状態で骨生検をしたら骨浸潤がある。

グループ①とグループ②が原発性の骨リンパ腫とされている

原発性のリンパ腫は以前はreticulum cell sarcomaと呼ばれていた。

 

原発性骨リンパ腫で最も多い症状は痛み(87%)次に腫脹(28%)

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60歳以上では予後不良

 

○骨のリンパ腫全体について

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○骨原発性のリンパ腫(グループ1とグループ2)

⇒大腿骨、骨盤、上腕骨および脛骨で認めることが多い。

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原発性骨腫瘍では脊椎よりも四肢の骨に多い傾向。 

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原発性骨腫瘍ではDLBCLが多い

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JCHO 病院総合医育成セミナー 報告

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JCHOのセミナーを先日の土日で行いました。

孫先生と八百先生の複雑系への対処法に関するご講演とWS、岡先生の感染症ランチョンセミナー、徳田先生・山中先生コラボの問診・身体診察WSと盛りだくさんの2日間でした。

徳田先生および石山先生からは日本のホスピタリストの方向性についてもコメントをいただきました。

その後月曜日には当院に神戸から総合内科の先生にも見学に来ていただきました。

直前にレクチャーをお願いしましたが快諾していただきました。

今後のホスピタリストの方向性について、いろいろ考えた3日間でした。

 

 

症例カンファ 2017年2月17日

症例カンファ祭りでしたね。

やはり、思考過程を皆で共有するのは勉強になりますね。

朝は若年女性のLVFXに不応性の2週間の発熱。

当初上気道症状が先行。現在は咽頭痛が強い。 頸部リンパ節軽度腫大 肝脾腫なし

鑑別は??

LVFX不応性であることより一般細菌感染症の可能性は下がる。

LVFX耐性菌 しかしfocusは乏しい。。 IE r/o必要か。

造影CTでは明らかな膿瘍なし。

甲状腺圧痛無く甲状腺機能正常 亜急性甲状腺炎らしさなし

WBCは好中球有意に増加 12000前後 CRP:11 血沈90

軽度の肝機能障害?

若年女性の発熱ではSLE考えるが、L/Dが合わない。SLEの症状も乏しい。

Still??  皮疹・関節痛なし あまりらしくはないがフェリチン提出。

そして若年女性の発熱で忘れてはならないのは、あの疾患。

じつは血圧左右差が再現性を持ってあり(SBP:15mm Hgの差)

造影ctでは大動脈弓が少しモヤモヤ?? はっきりしない。

あと忘れてはならないのはLVFXの薬剤熱。LVFX中止したら症状改善するかもしれない。

ひとまずLVFX中止してフォロー。当然血培はチェック。発熱継続するならあの疾患として紹介⇒PETの流れか。

 

 

さらに本日の初診外来では若い女性の頸部リンパ節腫脹+発熱。こちらは、あの疾患を考えフォローすることにしました。

 

 

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午後からは志水先生回診。

獨協で経験された興味深い症例を共有してくださりました。

詳細は言えませんが、臨床の奥深さを経験できました。

あの疾患かと思ったら、まさかのあの疾患という流れ。

 

GIMとして診断を考えるのは、やり甲斐である。

その原点に立ち返った一日でした。

 

腰痛のフレーム 問診

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昨日は腰痛の話をしました。

腰痛は体動時に悪化すれば筋骨格系、体動時に悪化しなければ内臓由来とざっくり考えます。ただし、腹部大動脈瘤は例外的に体動で増悪することに注意が必要です。

 

筋骨格系の腰痛であればRed flagを考えますが、まる覚えする必要はありません。

TOSS+Symptomを考えれば良いのですが筋骨格系では特にTSS+Symptomを考えます。

つまりいわゆる急性腰痛症がそうでない、危険な腰痛かを考えます。

危険な腰痛のTime courseとしては長期間継続するというのが特徴です。通常の急性腰痛症なら1ヶ月以内に症状は改善します。

さらに危険な腰痛のSituationとしては、安静時および夜間にも認める腰痛が特徴的です。急性腰痛症であれば安静時には基本的に痛みはありません。なお強直性脊椎炎では運動で改善する腰痛が特徴的です。

危険な腰痛のもう一つの特徴としては単純に痛みが強いということです。非常に強い痛みは危険な腰痛を考えます。

なお筋骨格系の腰痛に関してOnsetはまちまちです。

次にSymptomを考えます。

SymptomはFACETで鑑別疾患を考えます。

鑑別疾患を考えればそこから自ずと随伴症状を考えることが出来ます。

F racture              骨折        ⇒外傷歴、骨粗鬆症ステロイド

A utoimmune    自己免疫                   ⇒朝のこわばり、朝に悪化、運動で改善

C ompression    圧迫       ⇒膀胱直腸障害、下肢脱力、痺れ

Epidural abscess   硬膜外膿瘍(感染)   ⇒発熱、悪寒、寝汗

T umor       腫瘍                         ⇒体重減少

 

体動で悪化しなければ内臓系の疾患を考えます。

主に腎臓、血管、その他腹腔内疾患を考えます。

血管では突発発症の痛みで常に考えます。

ここでは問診も大切ですがERでは腹部診察や腹部エコーをしたほうが速いかもしれません。臓器を念頭に随伴症状を聴取します(腎臓⇒排尿時痛など)

 

 

 

 

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